えっ! 何ですって? 違う違いますよ 私は只若かりし日々に 憧れた年上の女性と再会出来る 

其れに似た幸せ気分に つい浮かれただけなんです。・・・・やぁ々久しぶり 時代の手垢にまみれたのは

お互い様で 君も随分変わってしまった様な? うんそうさ私も老いたよ 大事な物も沢山失ってしまったし

あの身軽さはもう何処ぞへ行ってしまったやら 乱れる事さえ無かった呼吸も 今ではこんなに荒くなって

しまって えっ?そんな気配感じさせなかったって きっと少しばかり見栄を張って居ただけなんでしょうよ。

<2003.9.20> 遥かなる鈴鹿山地
      ・・・・曇り後雨雨・・・・

又この地へと戻って来た 長き山旅において 自らの

原点とも云える山塊 其処を鈴鹿山地と言う 漂い

彷徨った末 抜け殻と成りつつある心を埋めて呉れる

には もうこの地より外思い付かなかった 心地良い

風が吹き上げて来る。

おーい! 帰って来たぜ・・・・

釣場として 既に多大な可能性を秘めて居る訳では

もう無いのだが この地に生きた人々の想いを現代に

引き継ぐ者として 其の懐に身を任せ抱かれると

時の経過が 早送りの様に脳裏を横切る。

<六人が向かう先には?>

峠超えで降りた谷の落合で 上下へと散り釣始めた四人を見送り  頭上を被う木立の緑と頼りなさげに

チロチロと落ちる流れを肴に チビリ々と釣友とやりだすと ”懐古居酒屋 鈴鹿亭”の 店開きとなった

話題は何十年も前の出来事で 昨日の事の様に甦って来るではないか   『ああ〜っ!良い酒だ・・

そこいらの釣では 遠くの本流から差し込んだアマゴも餌を追う しかし此の先 滝と落ち込みが連なる

渓の主は 悠久の語り部”イモナ”の縄張りと成る筈なのだが 其の現状は 自然再生しか術を持たぬ

源流の宿命を この地にても又 思い知らされる事と成った。

騒々しく 谷を渡り我々と同じペースで 上流目指す猿の一群や 慌て跳び起き逃走する 鹿の後姿等を

眺めたりで 快適に遡行は続いて行く。

”えっ!こんな処だったっけ?” 記憶に残る二本の

松は何処にも見当たらず 山頂向け取り付く筈の

沢は 山抜けして押し出された大量の土砂に盛り上がる

先程から落ち出した雨は 急に激しくなって 焚き火で

焼き上げた イモナを肴で一杯やろうと云った目論みも

諦めなければなるまい  足回りを変えて沢詰へと入る

とにかく前進しなければ  山積されたガレ場は

時間を経て居らず 浮石も多く危なっかしい代物で

此処でついに 一人の遡行ペースが落ちて行く。

<鈴鹿の主は釣餌を追った>

やがて湿気を含んだ 雨雲の中へ突入 周りは白いガスに覆われ出し 内なる気は焦る なんとかこの

場所を 早く抜けきらねば・・・・・・・・・ 山頂直下の詰め上がり その上はなだらかで広い 笹薮に突入

密集する笹は 以前に比べ背丈が 刈り揃えたように抑えられ割やすい・・・・・・多量に水分を含み 汗と

雨により すっかり湿った身体を更にグショグショにする もう山頂で泳いでいる感覚に笑うしかない?

計画より随分時間を要して尾根筋の登山道へ跳び出す! 皆に見せたかった 山頂から360°広がる

大パノラマは 雲に阻まれ何も見えない  さあ 後は急勾配を駆け下るだけだ。

                                                      oozeki

          <関連画像は ぎやらりいYに有ります>